シドニー新生活ガイド – 食べる

シドニー新生活ガイド – 食べる
豊かな食文化体験は、オーストラリアの最大の楽しみの1つ。いろいろな種類の食材に驚き、各国のレストランを満喫しよう。オーストラリアが誇る、パブやカフェ、ワインの特徴や楽しみ方もお伝えする。

食材の特徴

国内生産品、輸入品とも、オーストラリアでは豊富な 種類の食材が売られている。スーパーマーケットや市場 には、エンダイブやフェンネル、セロリアック、アーティ チョークといった日本人にはなじみの薄い野菜から、シ イタケやえのきだけ、白菜のような日本やアジアの食材もそろう。

●Native Foods(ネイティブ・フーズ)

レモン・マートルを使った魚用のハーブ 調味料

レモン・マートルを使った魚用のハーブ
調味料

オーストラリア原 産の食材、いわゆる ネイティブ・フーズ と呼ばれる代表的 な物としては、カンガルーの肉、フィンガー・ライム、レモン・ マートル、ブッシュ・ トマト 、スノーベリー、マカダミアン・ ナッツなどが挙げら れる。  レモン・マートルは ハーブの一種。爽やかなレモンのような香りは、お茶とし て飲まれたり、魚をグリルする際の香辛料に入れられた り、石けんなどにも使われている。カンガルーの肉はスーパーマーケットでも買うことが できる。また、エミュー、ワニ、ウサギ、ラクダの肉が売 られていることもある。

●水について

日本のミネラル・ウォーターに当たるスプ リング・ウォーター

日本のミネラル・ウォーターに当たるスプリング・ウォーター

オーストラリアの水道水は基本的に飲料水として利用 することができる。水道水には日本と同様、細菌や雑菌 の繁殖を防ぐための塩素、フッ素が添加されている。

●ミネラル・ウォーターとスプリング・ウォーター  

オージーたちの間でも水の安全性に対する意識は高く、浄水器を設置したり、ペットボトル入りの水を常備 する家庭も多い。 ただし、オースト ラリアでは、「ミ ネラル・ウォー ター」というと炭酸水になるので注 意が必要。日本で言うところのミネラル・ウォーターは「スプリング・ ウォーター」と呼 ばれている。

●伝統的なお菓子

市販のラミントン

市販のラミントン

パブロバの土台

パブロバの土台

「Lamington」(ラミント ン)はオーストラリア発祥のスイーツ。四角に切った スポンジ・ケーキにチョコ レートをコーティングし、 上からココナツをふりかけ た物。中には、ジャムやク リームなどをはさんである 物もある。スーパーマーケットなどでも販売されている。7月21日は「National Lamington Day」と称されている。手作りする人も多く、PTAのバザーなどで売られる。ラミントンと並んでオーストラリアのお菓子として有名 なのが「Pavlova」(パブロバ)。メレンゲを焼いたものに、生クリームやフルーツをトッピングしたものである。スーパーマーケットでは土台が売られている。

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Column
多文化社会ならではの食の多様性

さまざまな文化背景や宗教の人が共に暮らすオーストラリアでは、街の中に多種多様なレストランが並ぶ風景もまた日常だ。遠くまで足を延ばさなくても、イタリア、フランス、スペイン、メキシコ、中国、タイ、マレーシア、韓国、日本など、本格的な各国料理を気軽食べることができる。個人の自由を尊重するお国柄であることからも、食の選択肢は非常に多く用意されている印象だ。

オーストラリアの食事というとステーキやハンバーガーなど単一なメニューをイメージする人も多いかもしれないが、実際にバーガー・ショップに入るとそのメニューの多彩さに驚かされる。ビーフやチキン、フィッシュ・バーガーの他にも、パテ代わりにキノコや豆腐を使ったバーガーなどが一般のメニューとして用意され、注文する人も決して少なくはない。ベジタリアンなどでなくても、ヘルシー志向からこうしたメニューを選ぶ人もいるようだ。

それぞれの飲食店では、訪れる人の多様性に合わせたメニューの表示方法がなされている。例えば、グルテン・アレルギーの人のために「GF(グルテン・フリー)」のメニューを用意していたり、しょうゆなどの調味料もグルテン・フリーにこだわって用意している店もる。また宗教上の理由で豚肉や牛肉が食べられない人やベジタリアン、ビーガン向けのメニューを提供することで、幅広い客層に対応他にもアレルギーを引き起こす可能性のある成分を使用しているか気になる場合などは、注文する前に質問すれば店のスタッフが快く答えてくれる。

また、食の安全性への意識が高いことも特徴だ。どこのスーパーマーケットの生鮮売り場にもたいていオーガニック(無農薬、有機栽培)のコーナーがあり、化学的な農薬や肥料を使わずに作られた野菜や果物を購入することができる。

●Dips(ディップス)

いろいろな種類のディップス があるので選ぶのも楽しい

いろいろな種類のディップスがあるので選ぶのも楽しい

クラッカーや野菜スティッ クを付けて食べるクリーム 状のディップ・ソースはディッ プスと呼ばれ、オーストラリ アの家庭ではとてもポピュ ラーだ。アボカドやオニオン 入り、エビやベーコン風味な ど種類は豊富。バーベキュー などホーム・パーティーの前菜に「ディップスとクラッカー は定番」とオージーは話す。スーパーマーケットには専用 コーナーがあるので、お気に入りを探してみよう。

●ミート・パイ

冷凍コーナーのミート・パイ

冷凍コーナーのミート・パイ

これもオーストラリア を象徴する食べ物の1つ。「Dog’s Eye」(ドッグス・ア イ)やオージー・パイとも言 われる。スーパーマーケット には専用コーナーもある。

●小麦粉の種類

「Plain Flour」(左)、「Self-rising Flour」(右)

「Plain Flour」(左)、「Self-rising Flour」(右)

オーストラリアで売られ ている小麦粉には、「Plain F lo ur」(プレ ーン・フラ ワー)と「Self-raising Flour」(セルフ・レイジング・ フラワー)などの種類があ る。プレーン・フラワーは中 力粉のような物。セルフ・レ イジング・フラワーはベーキ ング・パウダーが入った中力粉と言える。

●ケチャップ、マヨネーズ

日本で見掛けないタイプのふた

日本で見掛けないタイプのふた

ケチャップは普通トマト・ソースと呼ばれる。右のよう な形のふたをマヨネーズで も見掛ける。反時計回りに回すとふたが浮き上がり、 中身を出せる。

スーパーの賢い利用法

シドニーを始め、オーストラリア全土でよく見掛ける 大型スーパーマーケットの代表格は、「Coles」(コール ス)や「Woolworths」(ウールワース)、「ALDI」(ア ルディ)などである。  レイト・ナイト・ショッピング・デーの木曜日や週末にま とめて自家用車で買い物をするオージーが多く、あらかじめ購入するものを記したメモを持ち、大きなショッピ ング・カートを押している光景もよく見掛ける。

●支払い方法  

現金、クレジット・カードあるいは銀行のキャッシュ・ カードから直接引き落とす方法「EFTPOS」(エフトポ ス)が一般的。

●有人レジと無人レジ

スーパーマーケットに並ぶ無人レジ

スーパーマーケットに並ぶ無人レジ

レジには有人のレジ と無人のレジがある。 有人のレジはベルトコンベア式。自分のカゴ の商品をベルトコンベアに載せ、次の人の購入品と混ざらないように、側に置いてある仕切り棒を自分の購入品の最後に置く。  無人のレジは、セルフ・チェックアウトと呼ばれている。購入した商品のバーコードを機械に読み込ませるこ とから、支払いまで全て自分で行う。キャッシャーと英 語でのあいさつや会話をしたくない人には無人のレジ、野菜や果物の英語名が分からない人や機械の操作が苦 手な人には有人レジが向いている。

●セールやポイント・カードを利用して賢く買い物  

スーパーマーケットの入口には特売品のチラシや冊子 が置いてあるので、セール商品をチェックしよう。  

レシートのチェックも忘れずに。レシートの表面には、提 携しているガソリン・スタンドや酒店の割引クーポンが印字さ れることもある。また裏面は、レストランや歯医者など、その エリアさまざまな店の割引券となっていることもある。スーパーマーケットなどが発行しているポイント・カードは、買い物ごとにポイントが貯まり、商品券や宿泊券、 生活雑貨などに交換できる。会費は無料、店のレジ近辺 やインフォメーション・カウンターなどに申し込み用紙が 置いてある。

日本食材を買う

スーパーマーケットには日 本のカレーも売られている

スーパーマーケットには日
本のカレーも売られている

日本食材が手に入る場所は、品ぞろえが豊富な順に、
①日系の食料品店(日本食材・雑貨専門店)、②アジア系 スーパーマーケット、③健康食品店、④スーパーマーケット、など。  

日系食料品店では、調味料からインスタント食品、麺類、 乾物、お菓子に至るまで、日本の基本的な食料品を手に入 れることができる。日本人スタッフがいるお店がほとんどな ので、日本語で買い物ができるのもうれしい。例えば、シド ニー中心部のタウン・ホール駅から徒歩3分の所にある「コ ンビニ8」(Web: nichigopress.jp/konbini8)は、「こん な物まであるの?」という品ぞろえ。ノース・ブリッジにある 「東京マート」(Tel: 02-9958-6860)には、2,000種 類以上の商品が並ぶ。「夢屋」(Web: www.umeya.com. au)も、日本食材の販売に関して豊富な品ぞろえを誇る。 シドニー全域に店舗がある、日本の100円ショップ 「DAISO(ダイソー)」でも、お菓子や調味料など多くの日本食材が探せる(価格は2.8ドル〜)。  

アジア系スーパーマーケットは、ワールド・スクエア などにある「Miracle Super Market」(Web: www. miraclesupermarkets.com)を始め、イーストウッド やチャッツウッド、シドニー中心部のチャイナタウンな どに多くある。しょうゆやインスタントラーメンなどの加 工品は、アジア諸国にある日本の食料品工場からの輸入 品が多いため味が日本の物と若干違うが、価格は純日本製よりも安く設定されている。 また、健康食品店には、健康ブームということから、日 本食材をそろえる所もある。  

コールスやウールワースなどの大手のスーパーマーケット には大抵アジアン・フード・コーナーがあり、店舗によって品ぞろえに違いはあるものの、しょうゆやカレーなど基本食品が手に入る。

Column
食品の栄養表示

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食品を買うとパッケージの裏には必ず「NUTRITION INFORMATION」とカロリーや摂取栄養などが表示されている。注意したいのが、カロリー表 示。日本はキロ・カロリー表示だ が、オーストラリアはkJと書いてあり、「キロ・ジュール」と読む。 1Kcalは4.189kJ(約4.2kJ)に 換算できる。つまり、kJで表示さ れている数字を、4.2で割れば、 Kcalになる。 食品に関する安全性などの情 報は、「FOOD STANDARDS」 (Web: www.foodstandards.gov. au)などのサイトで入手できる。

基本の食材、その他

●米について

オーストラリアの米と言えば「サンライス」の1社寡占状態である。いわゆるオーストラリア米だが、ふっくらしていておいしい。手頃な値段でスーパーマーケットで販 売されている。またサンライスは、世界の市況を見なが ら国内外向けに米の生産・販売をしている企業であり、 日本にも多く輸出している。

●卵について  

卵にも種類がたくさんある。ケージ飼いの「Cage Eggs」(ケージ・エッグス)、放し飼いの「Free-Range Eggs」(フリーレンジ・エッグス)、野菜を餌にしている という意味の「Vegetarian」(ベジタリアン)などがあ る。殻に雑菌などが付着していることがあるので、火を 通してから食べることが推奨されている。

●すき焼き用の肉など

肉は牛肉や豚肉、鶏肉からカンガルー肉まで大抵の 物は手に入るが、スーパーマーケットなどではブロック 肉やステーキ肉がほとんど。日本で言うところの薄切り肉、バラ肉などは、日本食料品店や中国系もしくは韓国 系の食材店で入手可能だ。

●オーガニック食品  

オーガニック食品は,通常の食料品に比べて値段は若 干高め。オーガニック商品を買うには、①専門店で買う、 ②スーパーマーケットで買う、③オーガニック商品を扱う 市場に行く、④インターネットで買う、などの方法があ る。特に②のスーパーマーケットで買うのは手軽。コール スやウールワースでは、青果・生鮮食料品コーナーでオーガニック食品が販売されている。普通の商品と並んで オーガニック商品が販売されているので、「Organic」を目印に探してみよう。

●専門店や市場

味や鮮度にこだわるなら、野菜や肉、魚などの専門店 や市場で買うのも良いだろう。市場は安く購入したい人 にもお薦め。肉や魚の専門店は、大きなショッピング・セ ンターの中で見つけられるが、大手スーパーマーケット に併設されていることもある。

Column
オーストラリアに米を植えた日本人

そもそも米の需要がほぼなかったオーストラリアで一体どのよ うにして米の栽培が始まったのか、調べていくと1人の日本人が浮 かび上がる。その名は愛媛県出身の高須賀穣。1865年、四国松山 藩の料理長、高須賀賀平の1人息子として生まれた高須賀穣は元来 より海外志向が強くアメリカへ渡り学問に励むなどといった活動 を経て、98年に衆議院議員に当選。国政の場に4年間携わった後、 1905年に妻と2人の子どもと共に渡豪を果たした。当時40歳に なった高須賀がオーストラリアの地に足を踏み入れた理由は人生の 後半を新天地での挑戦に使いたいという熱い情熱からだったとい う。来豪後、オーストラリアに米を作ることができる土壌があるこ とに気付き、当時のVIC州のトーマス・ベント首相と国土省の大臣に 建議をし、それが功を奏し、1906年7月、州政府はマレー川沿いの 300エーカー(120ヘクタール)の土地を米作りのために提供した。

同年10月、高須賀は日本から持ってきた米の種をオーストラリアの 大地にまいたのである。しかし、芽が動物に食われる、水不足にな るなど度重なる失敗の末、1909年には大洪水に見舞われ、種まき した40エーカーの水田が流されるなど一筋縄ではいかなかった。つ いに日の目を見たのは実に5年後の1911年。日本から輸入した25 種類の籾をまき、3種の米の収穫に成功したのだ。高須賀は、米栽 培が軌道に乗ったのを見届けると69歳で引退。経営を2人の息子に 任せたという。そして1939年、日本に帰国しその1年後故郷の松山 の家で心臓麻痺で急逝したという。今日、オーストラリアの米はジャ ポニカ種が8割以上を占めるという。その基盤は20世紀初頭の高須 賀のチャレンジによって作られた。我々がオーストラリアで食べてい るサンライスの短粒米も、元をたどればこの1人の熱き日本人の手 によってまかれたものだと考えると感慨深いものがある。

アルコールを買う

「Bottle Shop」の看板

「Bottle Shop」の看板

スーパーマーケットやコン ビニなどで酒類は売られて いない。酒販店は、「Bottle Shop」(ボトル・ショップ)あ るいは「Liquor Shop」(リ カー・ショップ)と呼ばれる。 飲酒は18歳から認められて いるが、お酒を買う時や飲む時は、身分証明書の提示を求 められることもあるので準備しておこう。酒販店の営業時 間は夜11時まで。またアルコールを公共の場所、つまり屋 外で飲むことは禁止されているので注意。

台所用品を買う

基本的な台所用品はスーパーマーケットで買える。 「Kmart」(ケーマート)や「Target」(ターゲット)、 「IKEA」(イケア、発音はアイキア)などの総合雑貨店 なら、食器からパーティー用品、バーベキュー・セットな どがリーズナブルな価格で購入できる。「DAISO」(ダ イソー)では、和食器などの小物もそろう。「David Jones」(デイビッド・ジョーンズ)など大手デパートで は有名ブランドの高級洋食器や調理器具が販売されている。バーゲン時期には値下げする商品もあるので要チェック。

外食事情

シドニーを始めオーストラリアでは、実にさまざまな 国の料理が楽しめる。各国料理専門のレストランから、 ショッピング・センターなどに併設されている大型フード・コートまで、形態や規模もバリエーション豊富。ベジタリアン・レストランなどもある。 

●「BYO」ならお酒持ち込み可

「BYO」は「Bring Your Own」の略で、「お酒を持ち 込んでも良い」という意味。お酒を出していなくてBYO がOKのレストランや、お酒を提供しているけれども BYOが可能という店などもある。基本的には酒代の節 約になるが、BYOがOKでも別途持ち込み料金を請求する店も少なくないので、事前に要チェックだ。

●「テイクアウェイ」で持ち帰り

持ち帰り用コンテナ例

持ち帰り用コンテナ例

日本やアメリカだと「テイクアウト」だが、オーストラリア英語では「持ち帰り」を「Takeaway」(テイクア ウェイ)と言う。外食した際に食べきれなくなったら、お 店の人に「テイクアウェイ用 のコンテナをください」と 言えばプラスチックのケー スなどを持ってきてくれる。コンテナが有料の店もあるので注意しよう。 

Column
オーストラリアのビールとパブ

歴史あるパブの店内の壁は石壁が特徴。写真は「Hero of Waterloo Hotel」

歴史あるパブの店内の壁は石壁が特徴。写真は「Hero of Waterloo Hotel」

オーストラリアで「食べる・飲む」といったら、やっぱりバーベ キューとビールは欠かせない。オージーの生活の一部と言っても 良いだろう。そして、おいしいビールが飲みたい、まだ飲んだこと のないビールを味わってみたいと思ったら、ぜひとも訪れてみたいのがパブだ。街を歩くと、本当にたくさんのパブがあるのが分かる。ビールがこの国の食文化を担うものの1つであるのと同時に、パブも、オーストラリアの重要な文化の1つなのだ。パブの語源は 「public」。いろいろな人が集まる楽しい場所なのだ。薄暗い照明の中(中には明るいパブもあるが)、ずらりと並んだドラフト・ ビールの注ぎ口(タップ)が金色に輝く様を見ているだけでも、ウ キウキした気分になってくる。一般的なパブは、とても開放的で自 由な雰囲気だ。店内に足を踏み入れても、レストランのように店員 が近付いてきて席を案内するということはない。多くのパブでは、 店の中央付近の場所にお酒を中心とした飲み物を出すバー・カウンターがあり、ここで飲み物を注文し、受け取ると同時に代金を支払い、テーブル席に自分で持っていくのが普通。カウンター席に 座って、店員との会話を楽しみながらグラスを傾けるのも良い。

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Column 
シドニーのカフェ文化事情

シドニーのカフェ文化の立役者の1つである「Bill & Toni's」は1965年の創業。い つも人でいっぱい

シドニーのカフェ文化の立役者の1つである「Bill & Toni’s」は1965年の創業。いつも人でいっぱい

カフェ文化が盛んといわれるオーストラリア。シドニーもその例 に漏れず、街のいたる所にカフェがあり、おいしいコーヒーやドリンク、スイーツなどを味わうことができる。 オーストラリアのカフェ経営の特徴は、何と言っても家族や個 人で経営する独立系カフェが圧倒的に多く、全店舗の約9割を 占めていること。一方、大手カフェ・チェーンもある。主なチェー ンは「Gloria Jean’s Coffees」(グロリア・ジーンズ)、「The Coffee Club」(ザ・コーヒー・クラブ)、「Michel’s Patisserie」 (ミッシェルズ・パティスリー)などだ。  オーストラリアのコーヒーは、イタリアン・スタイルの 「Espresso」(エスプレッソ)がベース。これにミルクなどを組 み合わせてさまざまな種類で提供される。カフェによって少しレ シピが違ったりする場合もあるが、コーヒーには基本的に下図の ように8種類ほどある。 世代や住んでいる場所によってもコーヒーの味の好みが分かれ るようで、カフェ・ラテは一般的に女性、フラット・ホワイトは年配 者、エスプレッソはシドニー中心部の若い男性、カプチーノはシド ニー郊外の人に好まれているそう。 コーヒー1杯の金額はおよそ3〜5ドル。いわゆるコーヒー・カップ に入れられたコーヒーに加えて、デュラレックス・グラス(Duralex glass)と呼ばれるグラスに注がれたコーヒーも多く見掛ける。 「シドニーの朝はカフェから始まる」などと形容されているだけあ り、多くのカフェが、早朝6時ごろからオープンしている。駅周辺で は、早い時間から多くの客でにぎわっているカフェも少なくない。 通勤や通学の電車に乗る前にコーヒーを買い、電車の中でコー ヒーを飲むというのが習慣になっている人もいるようだ。シドニー 中心部にあるビジネス街のカフェでは、やはり仕事の前にコーヒーをテイクアウェイしたり、テラス席で飲んだりしている人の姿が。ただし営業開始が早い分、夕方には閉店する店も多い。中には午 前中で閉まってしまう店もある。 このように生活に密着しているコーヒーの年間消費量は、近年 急速に増加し、50年前には1人当たり1.2キロだったのが、2011年 の調査では1人当たり4.9キロに増えた。

自宅でコーヒーを楽しむ人も多く、スーパーマーケットでもエスプレッソ・マシンが売られている。しかし、オーストラリア人の80 パーセントは、自宅ではインスタント・コーヒーを飲んでいるという 話もある。ここ最近のシドニーのカフェ市場だが、やはり“サード・ウェー ブ・コーヒー(コーヒー業界第3の波)”に注目が集まり、話題の中心になっている。サード・ウェーブ・コーヒーの特徴は3点あり、1つ 目は、“シングル・オリジン”と呼ばれる単一の豆を使用していること、2つ目は、豆に適切な焙煎方法を施していること、3つ目は、バリスタの手によってコーヒーが淹れられていること、である。また近年、シドニーのカフェでは、前述したイタリアン・スタイル のエスプレッソに加え、深めに煎った豆を使ってフランス式のフィルターで抽出しコンデンス・ミルクを入れて飲む甘いベトナム・コーヒーや、イブリックまたはジャズベと呼ばれる真鍮や銅製などの小さなひしゃく型の抽出器具で淹れるトルコ・コーヒーなど、“移民の国”ならではのサード・ウェーブ・コーヒーを提供するカフェが増え、多様化しているのも特徴だ。

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オーストラリア・ワインの基礎知識

オーストラリアでは、ワインは品種別に売られており、 品種の特徴を理解していれば、ボトル・ショップなどでその日の気分に応じて飲みたい品種を目指すことができ、 望み通りのワインを飲むことができる。まずは、基礎知識 として赤と白2種類ずつ、代表的な品種を覚えておこう。

●ソーヴィニョン・ブラン(白)

エビのバーベキューなど爽やかな酸味を生かす組み合わせがお薦め

エビのバーベキューなど爽やかな酸味を生かす組み合わせがお薦め

ソーヴィニョン・ブランの特徴としてまず挙げられるの が、フレッシュな果実味とすっきり、爽やかな味わい。そして、この品種にはライムやレモン、ハーブなどを感じさせる、爽やかで強い香りがあるのも特徴だ。 ソーヴィニョン・ブランの食事との合わせ方のポイントは、爽やかな酸味を生かすために、レモンや酸味の効 いたドレッシングをかけたらおいしい食べ物と合わること。例えば、白身の刺し身やカルパッチョ、チキンやエ ディブル・フラワー、フルーツが入っているサラダなどが お薦めで、レモンをかけておいしい物、潮の香りのする 生ガキや白子、エビのバーベキューやバラマンディ、鯛、 タラといった白身の魚とも相性が良い。また、脂っこい 鶏の唐揚げにレモンを絞るとおいしくなるように、ソー ヴィニョン・ブランは唐揚げやてんぷら、トンカツともうまく合う。

Column 
ソーヴィニョン・ブランのおいしい飲み方

●基本的に早飲み、ヴィンテージ(ブドウの収穫年)から1〜2年が飲みごろ。
●適温は6〜10度くらい(冷蔵庫できりっと冷やす温度)。
●合わせたい食べ物①:レモンや酸味の効いたドレッシングをかけるとおいしい物(例:白身の刺し身、カルパッチョ、サラダ各種、魚のグリルなど)
●合わせたい食べ物②:味付けがあっさり(塩のみなど)で重 過ぎない物(例:アスパラガスのグリル、エビのBBQ、ゴート・ チーズ、フェタ・チーズなど)
●合わせたい食べ物③:潮の香り(生臭さ)がある物、揚げ物 (例:生ガキ、白子、野菜のてんぷら、鶏の唐揚げ)

●シャルドネ(白)

樽熟成の工程を経ることが多いシャルドネ

樽熟成の工程を経ることが多いシャルドネ

シャルドネは、オーストラリアで最も生産量が多く、 オーストラリア国内の全ての産地で作られている品種。樽との相性が非常に良いため、生産コストが高くなる半 面、おいしさのために樽で熟成させるという工程を経ることが多い。 シャルドネの香りは、ソーヴィニョン・ブランに比べ穏 やかで柔らかく、バターやナッツ、バニラなど樽由来の香りがするのが特徴。また、品種が冷涼な気候の産地の 物であればメロンなど果肉の柔らかい果物の香り、温暖な気候で作られた物は、ネクタリンなど味わいの濃い果 物の香りがするなど、産地により香りが大きく異なる特 徴も持つ。味わいは、樽熟成の関係からソーヴィニョン・ ブランよりも渋みがあり、口に残るコクがより深い「ミ ディアム・ボディ」に分類される。  

食事との組み合わせに関しては、シャルドネはバター などの乳製品の香りがするためパスタであればクリーム・ ソース系の物とよく合う。ソーヴィニョン・ブランよりも味 わいにコクと深みがあることから、シーフードの場合はエ ビ、ホタテ、ロブスター、ムール貝などリッチな味わいの物との相性が良く、白身魚でもサワラの西京焼き、脂が しっかり乗ったブリの刺し身などの味の濃い料理であれ ば更においしく食べられる。もちろん、白ワインとしての酸味も持ち合わせているため、エビや白身魚のてんぷら とのマッチングも良い。また、肉料理とも合い、その場合は鶏肉や豚肉といった白い肉との合わせ方がお薦め。

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シャルドネのおいしい飲み方

●飲み頃はヴィンテージ(ブドウの収穫年)から2〜5年、上質 な物は10年もしくはそれ以上。
●適温は、樽熟成の物だと10〜13度(冷蔵庫で冷やす温度よ りはやや高め)。
●合わせたい食べ物①:まろやかでコクのあるバター、クリームなどの乳製品が含まれる物(例:クリーム・ソース系のパス など)
●合わせたい食べ物②:白い肉、濃い味付けの魚(例:鶏肉、 豚肉、サワラの西京焼き、ブリの刺し身など)
●合わせたい食べ物③:てんぷらなどの揚げ物(例:エビや白 身魚のてんぷら)
●合わせたい食べ物④:味が濃いめの甲殻類(例:エビ、ホタ テ、ロブスター、ムール貝など)
●合わせたい食べ物⑤:ほっこりとした硬いチーズ(例:チェダー、コンテなどのハード・チーズ)

●ピノ・ノワール(赤)

バルーン状の大きめのグラスで飲むと複雑な香りをより楽しめる

バルーン状の大きめのグラスで飲むと複雑な香りをより楽しめる

ワインをたしなみ始めた人が、飲みやすい白ワインか ら「そろそろ赤ワインも」と考えた時、いきなりフル・ボディからだと飲みづらいため、最初に飲む赤ワインとしてお薦めなのがピノ・ノワール。ピノ・ノワールは、果皮が薄く病気になりやすいなど繊 細で、栽培に非常に手間の掛かる品種。そのため、ピノ・ ノワールで良い物を飲みたいと思うとどうしても値段が高くなってしまう傾向があり、おいしいピノ・ノワールを飲もうと思えば、値段は最低25ドルくらいからは出すこ とがポイント。  

香りは、イチゴやラズベリーなどのベリー系、スミレや ラベンダーなどの花、シナモンなどの茶色いスパイスの香りがするのが特徴で、熟成された物であれば紅茶の茶葉やトリュフなどの土っぽさが香りとして出てくる。 食べ物との合わせ方は、シャルドネが鶏肉と豚肉に 合うのと同じく、ピノ・ノワールもそれらと相性が良い。 ただ、ピノ・ノワールの場合は、リッチなソースのかかった物、焼き鳥だと塩よりもタレの物と良い相性を持 つ。土っぽい香りを持つ物は、野性味のある食べ物、例 えば鴨肉やレバーなど少し癖や臭みのある肉などとも よく合う。また、赤ワインではあるが、サーモンやマグロといった脂のある赤身の魚と味わいが比較的軽めの ピノ・ノワールは相性が良いと言われている。一方で、辛い料理に赤ワインを合わせると、辛さにアルコールの強さが相まって、口の中が麻痺してしまうため、辛い料理だと口の中をクール・ダウンさせてくれる白ワインの方がお薦め。

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ピノ・ノワールのおいしい飲み方

●適温は13〜15度くらい(室温よりやや低め)。
●バルーン状の大きめのグラスでその複雑な香りを楽しむ。
●合わせたい食べ物①:軽めの肉料理(例:タレ味の焼き鳥、鶏肉の赤ワイン煮込みなど)、脂の乗った赤身の魚(例:サーモン、マグロなど)
●合わせたい食べ物②:野性味のある物(例:鴨肉、ハツ、レバーなど)
●合わせたい食べ物③:とろっとしたチーズ(例:カマンベール、ブリ―など)
●辛過ぎる料理とのマッチングはNG。

●シラーズ(赤)

濃い色味が特徴のシラーズ(左)と鮮やかな赤色のピノ・ノワール(左)

濃い色味が特徴のシラーズ(左)と鮮やかな赤色のピノ・ノワール(左)

オーストラリアを代表する品種で、最も多く栽培さ れ、オーストラリア・ワインの最高峰「ペンフォールズ・グ ランジ」もシラーズから作られている。シラーズは単体 でワインが作られることも多い品種だが、ピノ・ノワールやシャルドネと異なり、カベルネ・ソービニョンやグル ナッシュなどの品種とブレンドされることもある。また、シラーズは、スパークリング・ワインや酒精強化ワイン (醸造過程でアルコール「酒精」を添加するアルコール 度数の高いワイン)の原料にもなっている。  

シラーズは、皮革のような動物っぽい香りを持つこと が特徴で、オーストラリアのシラーズにはユーカリの香りがする物もある。フルーツであれば、カシスやブラック・ベリーのような香り、スパイスだとブラック・ペッパーと、ワインの色と同様で香りにも「濃い物」が挙げ られる。

味の特徴は何と言ってもフル・ボディであること。飲む時は、室温よりも少し低めの温度にしておくと、おいしく頂くことができる。シラーズはフル・ボディで味にもボリュームを感じるので、合わせる料理もボリュームがある物がお薦め。ステーキ、ラム・シャンク、ロースト・ビーフ、 ビーフ・シチューといった料理とのマッチングが良く、野 性味のある香りがするため、ラム肉ともおいしく合う。

Column
シラーズのおいしい飲み方

●適温は、室温よりやや低め13〜16度。
●大きめのグラスで飲むのがお薦め。
●合わせたい食べ物①:ボリュームのある肉料理(例:ステーキ、ラム・シャンク、ロースト・ビーフなど)
●合わせたい食べ物②:濃いめのソース系の料理(例:ビーフ・シチューなど)
●合わせたい食べ物③:味の濃いチーズ
●辛過ぎる料理とのマッチングはNG