シドニー新生活 < 働く >

シドニー新生活 < 働く >

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オーストラリアで働くためには、就労可能なビザは必須。しかしそれに加えて、日本とは異なるシステムや常識も多々ある。ここではオーストラリアの雇用の特色などを紹介する。

雇用の特色

●雇用形態
一般的に、オーストラリアにおける雇用形態は、週の労働時間によって「フルタイム」(Full-time)か「パートタイム」(Part-time)に分けられ、雇用契約期間によって「正社員」、「コントラクト」(Contract)、「カジュアル」(Casual)などに分けられることが多い。 正社員は、有給休暇や有給病欠などの休暇制度、「スーパーアニュエーション」(Superannuation/スーパー)という年金制度などが適用される。会社によっては病気などの治療費を負担してくれるところもある。 スーパーアニュエーションとは基本的には退職後の生活のための積み立てのこと。雇用主が被雇用者のために、給料の9.5パーセントをスーパー運用基金(SuperFund)に積み立てる。学生ビザ、ビジネス・ビザ、ワーキング・ホリデーなど、永住権を持たない日本人で、オーストラリア滞在中にスーパーアニュエーションに加入していた人は、帰国時などにオーストラリア国税局(ATO:Australian Taxation Office/Web: www.ato.gov.au)に換金請求をすることができる(全額は戻らない)。求人欄に「+Super」と書かれていることを見掛けることがあるが、これは給料の他にスーパーアニュエーションが付くという意味だ。 一般的に正社員はフルタイムの場合が多いが、労働時間がフルタイムより少なく勤務時間が固定されている場合が多いパートタイムでも、労働時間の長さによっては有休休暇や病欠休暇など、フルタイムの社員と同様の権利が与えられることもある。 いわゆる契約社員に当たるのが「コントラクト」。期間は6カ月、8カ月、1年など、期限付きの採用が基本。産休・育休に入った正社員の補欠要員として、その社員の復職まで代わりにそのポジションで働くという「マタニティー・リーブ・コントラクト」を耳にした人もいるだろう。「カジュアル」は、主として、労働力が必要な時だけ働くスタイル。「オン・ハイヤー」(On Hire)、「テンプ」(Temp)とも呼ばれる。需要のある時には正社員以上に働くこともあるが、仕事がない場合もあり、また有休などの権利もないので、給与水準は20〜25パーセントほど高めに設定されていることが多いようだ。

image001カジュアルは、人材派遣会社と雇用契約を結び派遣社員として働くケースを指す場合もある。給与や税金、退職年金などの手続きは人材派遣会社が行う。 日本の場合、健康保険、通勤交通費といったものも会社が負担あるいは一部負担するのが一般的だが、オーストラリアでは必ずしもそうではない。

●試用期間
新規採用の場合、ほとんどの企業で3 カ月、まれに6 カ月という試用期間(Probationary Period)を設けている。

●最低賃金
2018年3月現在、オーストラリアの最低賃金は、1時間当たり18ドル29セント、週38時間で69 4ドル9 0セントとなっている(Mywage.org/Australia、Web:www.mywage.org/Australia)。これは、経済協力開発機構(OECD)が27カ国を対象に調査した中で首位である。 また、業種や経験などによって最低賃金は異なる。日本の労働基準監督署に類似する役割を果たしているFairWork Ombudsman(Web: www.fairwork.gov.au)では、どんな仕事にいくら支払われるべきかなどが、オンライン上で計算できるようになっている。自分が希望する職種の賃金の目安として調べてみるといいだろう。ちなみに平均給与は週あたり1,191ドル50セント(2017年)。

●労働時間
正社員の場合、週38時間。時間外労働は妥当な範囲で認められるが、時間外勤務や週末の勤務の手当ついては、職種別に最低賃金などを定めた「Award」(アワード)に従うように決められている。こうした決まりは頻繁に変更されるので常に最新情報を入手しておく必要がある。

ビザ

外国人である日本人がオーストラリアで働くには就労許可が付いたビザが必要だ。例えば、永住ビザ(永住権)、就労系ビザ、ワーキング・ホリデー・ビザ、学生ビザなどである。 永住権があれば就労に関してほぼ制限がない。学生ビザでの労働時間は2週間あたり40時間以内などと制限されている。ワーキングホリデー・ビザには、同じ雇用主の下で6カ月間(条件により1年)までといった制限がある。 就労系ビザの中でポピュラーなのが、雇用主がスポンサーとなって社員のビザを申請するタイプ。ただし、審査が年々厳しくなってきており、申請者だけでなく会社に課される条件も少なくない。 求人情報を見ると、フルタイムの場合は、やはり条件として「永住権保持者」を挙げている場合が多い。ただ、パートタイムでも入れる可能性があるかもしれないので、永住権を持っていない場合でも、果敢にトライしてみたい。

仕事の探し方

主な情報源としては、インターネットの求人サイト、新聞の求人欄、口コミ、大学や日本食料品店の掲示板などが挙げられる。 新聞は週の決まった曜日に求人広告を掲載している。例えばシドニーで発行されている「The Sydney Morning Herald」紙は、土曜日に「MY CAREER」という求人広告欄を設けている。 しかしやはり現在の主流はインターネットでの情報収集だろう。オーストラリア政府の求人情報サイト「Australian Job Search」(Web: jobsearch.gov.au)や履歴書やポートフォリオが登録できる「Seek」(Web: w w w.seek .com.au)、「adzuna」(web:www.adzuna.com.au)、「Careerone」(Web: www.careerone.com.au)などがポピュラー。メールアドレスを登録しておけば、定期的に求人情報を送ってくれるので便利だ。 仕事を探すサイトではないが、Facebookに似たビジネス・プロフェッショナル向けのソーシャル・ネットワーク「LinkedIn」(Web: www.linkedin.com)を活用している人も少なくない。自分の経験、スキルを上手にまとめて登録しておけば、企業などからコンタクトがある可能性もある。 またオーストラリアでは、企業と就職希望者を結ぶ人材紹介会社(Recruitment agenciesなどと呼ばれる)が発達しているので、該当する専門分野の職歴があれば登録しておくと良いだろう。こうした人材紹介会社には新聞やインターネットに掲載されない求人もあるというから見逃せない。 日系の人材紹介会社もある。例えば「スタッフソリューションオーストラリア」(We b: w w w.ssaus t .c om.au)や「NM AUSTRALIA」(Web: www.nmaust.com)、「Advantage Professional」(Web: www.advantageprofessional.com.au)、「日本ブレーン・センター・オーストラリア(NBCA)」(Web: www.nbca.com.au)、などが挙げられる。

履歴書など

就職活動に当たり、英文の履歴書(カリキュラム・ビータイ/Cur r iculum V it ae: C.V.またはレジュメ/Resume)、履歴書に沿えるカバー・レター(CoverL e t te r)、また場合によっては推薦状(レファレンス・レター/Reference Let ter)を用意しなければならない。 前述のように、日本とオーストラリアでは企業が応募者に求めているものが違うということをしっかり認識したうえで、履歴書で何を強調すべきか十分に注意を払って作成にあたりたい。フォーマット(書く順番など)も異なる。 カバー・レターは、履歴書に書き込めない要素をアピールするアイテムでもある。自分がいかにそのポジションに興味を持って応募したか、ポジションにいかに適した人材かをアピールすることが大切になる。また、これらの書類は、企業や職種によってどの部分をふくらませるべきかが変わってくるので、数種類用意しておく手もある。常にアップデートすることも忘れずに。

Column ジョブ・ホッピング 
オーストラリアでは、既卒であろうが新卒であろうが、企業が求めるものは同じ。その人が具体的に何ができるか、仕事をやっていく能力があるかだ。これは、オーストラリアでは、新卒、既卒、あるいは年齢などに関係なく、能力次第で仕事を見つけられる平等なチャンスが誰にでもあるということでもある。そして、いつから就職活動を始めていつ入社するといったスケジュールは存在しない。自由なのだ。しかしこの能力主義は、当然ながら厳しい側面を持っている。就職に経験や能力が求められるといっても、誰でも最初は経験なんてない。プロフェッショナルを目指しているのにそれにはプロフェッショナルの経験が必要であるという「鶏と卵」の関係が、最初の就職、あるいは自分にとって新しい分野へのチャレンジという時には付いて回る。ではどうすればいいのか。その1つの道が、インターンシップやワーク・エクスペリエンス、ボランティアなど、無給の仕事で経験と実績を積んでからそれを就職活動につないでいくという方法だ。例えば、最初はパートタイムでスーパーなどの商品陳列などの仕事をし、仕事ぶりが認められて管理業務に移り、徐々に重要な業務を任されていくといったパターンも、オーストラリアでは非常に一般的だという。一見遠回りに見えても、実はそれが一番確実なキャリア・アップの道だったりもするのだ。こうしたケースでは、何も1つの企業にずっととどまる必要もない。ある企業でそこそこの経験を積んだら、その経験を武器に、より条件の良い別の企業に転職する。それを繰り返してキャリアを積んでいく。このように、より高い給与やより高い役職などを意識して転職を繰り返すことを「ジョブ・ホッピング」(JobHopping)といい、転職に対して否定的なイメージの強い日本とは正反対に、オーストラリアでは非常にポジティブなこととしてとらえられている。