シドニー新生活<手続き>

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 短期間の滞在でも長期にわたる居住でも、安心して海外で過ごすためには各種手続きをきちんと済ませておくことが大切。シドニーに来る前、そして来たら、早めにやっておくべきことをまとめた。

出発前の手続き

●海外転出届
 1年以上海外に滞在する場合は、任意ではあるが、市区町村役所に「海外転出届」を提出する。提出することで、渡航中の住民税や国民年金、国民健康保険などの支払い義務が発生しなくなる。
 ちなみに帰国後は2週間以内に転入届を出す。パスポート持参のうえ、最寄りの市区町村役所で手続きをする。転入届の際に戸籍謄本などが必要となる場合もあるので、必要書類など、詳細や疑問点は事前に役所に確認を。
 また学生の場合は、休学届けの提出などの手続きが生じる。大学の学生課などに相談をしよう。
●国民年金
 国外転出届の提出時に自動的に納付義務がなくなるが、将来受け取ることができる年金の額に影響が出る。任意継続を申し込めば、海外にいながら年金を納め続けることができる。
●固定資産税
 土地や家屋などの固定資産は、非居住者であっても、課税対象となるので、納税代理人を定めて代行を依頼する。
●住民税と所得税
 住民税は前年にある一定の所得があった人が1月1日現在の居住地で課税される。所得税は、その年の1月1日から出発日までの所得が給与所得だけなら、出発前に準確定申告をし、納税する。

到着したら「在留届」を提出

 旅券法第16条により、海外に3カ月以上滞在する日本人は、当該国の在外公館に在留届を提出することが義務付けられている。在留届は、領事館で直接提出するか、郵送、FAX、または外務省の在留届専門ウェブサイト(Web:www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet)からも提出することができる。
 在留届を提出しておくと、万が一事件・事故・災害などに遭った時、安否の確認や緊急連絡、救援活動の連絡などに使用される。災害時などに正しい情報を得るためにも、きちんと提出しておくのが良い。緊急時にはEメールで情報が送られてくるサービスもある。
 オーストラリア国内での引っ越しで住所を変更した場合や長期間の滞在後日本に帰国する際も、必ず領事館に通知しておこう。
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外務省の在留届専門ウェブサイト

「在外選挙人証」を持つ

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 外国にいても日本の国政選挙で投票ができる制度を「在外選挙制度」と呼ぶ。これによる投票を「在外投票」と言う。在外投票ができるのは、日本国籍を持つ18歳以上の有権者で、在外選挙人名簿に登録され、在外選挙人証を持っている人だ(改正法公布日の2015年6月19日以降、満18歳・19歳の人についても、海外からの投票に必要な在外選挙人名簿の登録申請が可能となった)。「在外選挙制度」により、外国にいても衆議院議員選挙(小選挙区選挙・比例代表選挙)及び参議院議員選挙(選挙区選挙・比例代表選挙)、また、国民投票に投票することができる。
 海外で投票するためには、自分が住んでいる住所を管轄する日本大使館・総領事館(領事事務所を含む)を通じて、日本での最終住所地または本籍地の市区町村選挙管理委員会に在外選挙人名簿への登録を申請する必要がある。
 登録した人には、投票に必要な「在外選挙人証」が、申請先の市区町村選挙管理委員会から日本大使館・総領事館を通じて交付される。交付には3カ月程度かかるので早めに手続きをしよう。

タックス・ファイル・ナンバーを取得する

 オーストラリア国内で働く、銀行の利息を受け取るなど、この国で少しでも収入がある場合は、タックス・ファイル・ナンバー(TFN)を取得する必要がある。申請は最寄りのATO(オーストラリア国税局)オフィスで直接手続きするか、オンラインでの申し込みも可能(Web: www.ato.gov.au/individuals/tax-file-number/apply-for-a-tfn/foreign-passport-holders,-permanent-migrants-and-temporary-visitors—tfn-application/)。TFNを持っていないと給料の税金が高くなったり、銀行の利息から余計な税金が取られたりするので注意したい。
 オーストラリアの会計年度は7月〜翌年6月。年度末(6月末)を過ぎると、会社員でも、日本でいうところの会計報告や確定申告に当たる「タックス・リターン」という報告をしなければならない。これはインターネットから申告が可能だ。
 もっとも、収入源が複数あったり、経費をどう処理すれば良いか分からない場合は、トラブルを未然に防ぐためにも税理士に依頼するのがお勧めだ。タックス・リターンの申告は10月31日までに済ませよう。

銀行口座を持つ

 オーストラリアに来てまず最初にやっておきたいのは、銀行口座の開設だ。口座の種類には、セービング・アカウント(普通預金口座)、ターム・デポジット(定期預金口座)、チェック・アカウント(当座預金口座)などがある。
 オーストラリアは日本よりもカード社会化が進んでいるため、多くの人が現金をあまり持たずに生活している。ほとんどのレストランや小売店では、エフトポス(EFTPOS)と呼ばれる日本のデビット・カード決済に相当するシステムを導入しており、支払いはクレジット・カードだけではなく、バンク・カードで自分の銀行の普通預金口座から直接支払うことができる。また、公共料金なども、インターネットを利用して自分の口座から振り込むビーペイ(BPAY)というシステムを使って簡単に支払うことが可能。
 オーストラリアの銀行では通帳に入出金のやりとりを記載していくというシステムがない。代わりにバンク・ステイトメントと呼ばれる明細書をオンラインや郵送で受け取ることができ、これによって通帳と同様に取引内容を確認するようになっている。
 なお、ATMでの現金引き出し方法は以下の通り。

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挿入口へカードを挿入すると、下記の画面のような指示が表示されるのでPINナンバー(暗証番号)を入力。
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現金を引き出す場合はその金額(選択肢にない場合は「OtherAmount」)を押す。なお、その他のボタンの意味は「AccountBalance(残高確認)」「Transfer(振込)」など。
ATM3 引き落とし元となる口座を選ぶ。
ATM4
レシートが必要か聞かれるので「Yes」か「No」で答える。すると現金とレシート(希望した場合のみ)が出てくる。

Column テロから身を守る
 オーストラリアは比較的治安の良い国とされているが、それでも世界中で頻発するテロ事件などと無縁とは言えない。オーストラリア軍の中東での空爆開始以降、イスラム過激派ISに感化された単独犯などによる事件がオーストラリア国内でも複数起きている。
 2014年12月、シドニー中心部のリンツ・カフェでライフル銃を持った男が立てこもり、警官隊と銃撃戦の末、人質2人が犠牲となった事件が発生している。また、15年10月にはシドニー西部パラマタのNSW州警察本部前で、15歳の少年が警察職員を銃で殺害する事件も起きている。
 では、どうすればテロから身を守ることができるのだろうか。まずは普段からテロに対する危機管理意識を高めること。オーストラリア政府のテロ警戒レベル(現在、5 段階中上から3番目)を注視し、テレビやウェブサイトのニュースでオーストラリアのテロ情報を常に収集しよう。
 爆弾テロや武装襲撃に遭遇しないようにするためには、標的になりやすい警察や軍、政府、アメリカに関連した施設の他、特に不特定多数が集まる街の中心部にある広場や施設などに不用意に近付かないこと。外出中は、常に自分の360度に注意を払い、人の態度や目、手の動きを観察する癖をつけよう。実際に襲撃に遭遇した場合は、カバンなど身の回りの物で心臓を守り、頭を両手で覆うことで銃弾が急所に命中する確率を減らすことが可能だ。
 万が一の事態に備え、すぐに安否が確認できるように、3カ月以上海外に滞在する人は、最寄りの在外公館に「在留届」の提出を忘れないようにすること。3カ月未満の旅行や出張の際は、在外公館から緊急時の情報提供が受けられる「たびレジ」(外務省のウェブサイト参照)に登録しよう。