【体験コラム】 互いに協力し合う空間

【体験コラム】 互いに協力し合う空間

体験コラム 互いに協力し合う空間

細川颯生さん 学生(23歳)、滞在歴4年

「なんなんだ、この空間は!?」。これが私が初めての物件探しを終え、入居した直後の感想でした。

在豪2カ月目、新たな出会いを求め住まい探しを開始しました。とんとん拍子で話が進み、住まい探しを始めてものの数時間でインスペクションからボンド(日本でいう敷金、礼金)を払う段階まで終わらせることができました。さあ、いざ新たな生活のスタート! と思っていた矢先、私を待ち受けていたのは良くも悪くも想像を超える驚きの連続だったのです。

まず驚かされたのは、10カ国30人から成る、インターナショナルな住人たちです。

向かいの部屋からはフランス人の陽気な歌声が聞こえると思いや、両隣からはポルトガル語とスペイン語両方を操るブラジル人の大声。そしてその声に反応し、なぜか笑顔で部屋を飛び出す韓国人。

キッチンに住人が集えば英語での会話に。オーストラリアは異文化国家で有名ですが、まさにその空間は国境を越えた人からなる、“小さな異文化国家”でした。

また、そこには住人30人に対してバス・ルームが3つしかなく、キッチンも三口コンロの小さなもの。日本の整備された水回りの空間とは異なり、チープな作りのシンプルなもので、必ずどこかが故障しています。使い勝手の悪いものばかりがそろったその住まいは何度も私を困らせました。

しかし、他の住人はそういったことに文句を言わず、むしろ楽しんでいるよう……。キッチンを待っている間も、他の住人の手伝いをしたり料理をシェアしたりと、ただ単に待つだけでなく自然とコミュニケーションを取っていたり、また、何かが故障した時にはみんなで工具を持ち寄り直し合ったりと、国が違う者同士、お互いに協力し合っていました。

最初は驚くばかりでしたが、次第に私もそのインターナショナルな空間に溶け込むことができ、日本での息のつまるような生活スタイルよりむしろ、良い意味でも悪い意味でもルーズなその空間が好きになっていきました。