オーストラリア・ワインの基礎知識

 オーストラリアでは、ワインは品種別に売られており、品種の特徴を理解していれば、ボトル・ショップなどでその日の気分に応じて飲みたい品種を目指すことができ、望み通りのワインを飲むことができる。まずは、基礎知識として赤と白2種類ずつ、代表的な品種を覚えておこう。

●ソーヴィニョン・ブラン(白)

エビのバーベキューなど爽やかな酸味を生かす組み合わせがお薦め

エビのバーベキューなど爽やかな酸味を生かす組み合わせがお薦め

 ソーヴィニョン・ブランの特徴としてまず挙げられるのが、フレッシュな果実味とすっきり、爽やかな味わい。そして、この品種にはライムやレモン、ハーブなどを感じさせる、爽やかで強い香りがあるのも特徴だ。
 ソーヴィニョン・ブランの食事との合わせ方のポイントは、爽やかな酸味を生かすために、レモンや酸味の効いたドレッシングをかけたらおいしい食べ物と合わること。例えば、白身の刺身やカルパッチョ、チキンやエディブル・フラワー、フルーツが入っているサラダなどがお薦めで、レモンをかけておいしい物、潮の香りのする生ガキや白子、エビのバーベキューやバラマンディ、鯛、タラといった白身の魚とも相性が良い。また、脂っこい鶏の唐揚げにレモンを絞るとおいしくなるように、ソーヴィニョン・ブランは唐揚げやてんぷら、トンカツともうまく合う。

◆ソーヴィニョン・ブランのおいしい飲み方
●基本的に早飲み、ヴィンテージ(ブドウの収穫年)から1〜2年が飲みごろ。
●適温は6〜10度くらい(冷蔵庫できりっと冷やす温度)。
●合わせたい食べ物①:レモンや酸味の効いたドレッシングをかけるとおいしい物(例:白身の刺身、カルパッチョ、サラダ各種、魚のグリルなど)
●合わせたい食べ物②:味付けがあっさり(塩のみなど)で重過ぎない物(例:アスパラガスのグリル、エビのBBQ、ゴート・チーズ、フェタ・チーズなど)
●合わせたい食べ物③:潮の香り(生臭さ)がある物、揚げ物(例:生ガキ、白子、野菜のてんぷら、鶏の唐揚げ)

●シャルドネ(白)

樽熟成の程を経ることが多いシャルドネ

樽熟成の程を経ることが多いシャルドネ

 シャルドネは、オーストラリアで最も生産量が多く、オーストラリア国内の全ての産地で作られている品種。樽との相性が非常に良いため、生産コストが高くなる半面、おいしさのために樽で熟成させるという工程を経ることが多い。
 シャルドネの香りは、ソーヴィニョン・ブランに比べ穏やかで柔らかく、バターやナッツ、バニラなど樽由来の香りがするのが特徴。また、品種が冷涼な気候の産地の物であればメロンなど果肉の柔らかい果物の香り、温暖な気候で作られた物は、ネクタリンなど味わいの濃い果物の香りがするなど、産地により香りが大きく異なる特徴も持つ。味わいは、樽熟成の関係からソーヴィニョン・ブランよりも渋みがあり、口に残るコクがより深い「ミディアム・ボディ」に分類される。
 食事との組み合わせは、シャルドネはバターなどの乳製品の香りがするためパスタであればクリーム・ソース系の物がよく合う。ソーヴィニョン・ブランよりも味わいにコクと深みがあることから、シーフードの場合はエビ、ホタテ、ロブスター、ムール貝などリッチな味わいの物との相性が良く、白身魚でもサワラの西京焼き、脂がしっかり乗ったブリの刺し身などの味の濃い料理であれば更においしく食べられる。もちろん、白ワインとしての酸味も持ち合わせているため、エビや白身魚のてんぷらとのマッチングも良い。また、肉料理とも合い、その場合は鶏肉や豚肉といった白い肉との合わせ方がお薦め。

◆シャルドネのおいしい飲み方
●飲み頃はヴィンテージ(ブドウの収穫年)から2〜5年、上質な物は10年もしくはそれ以上。
●適温は、樽熟成のものだと10〜13度(冷蔵庫で冷やす温度よりはやや高め)。
●合わせたい食べ物①:まろやかでコクのあるバター、クリームなどの乳製品が含まれる物(例:クリーム・ソース系のパスタなど)
●合わせたい食べ物②:白い肉、濃い味付けの魚(例:鶏肉、豚肉、サワラの西京焼き、ブリの刺し身など)
●合わせたい食べ物③:てんぷらなどの揚げ物(例:エビや白身魚のてんぷら)
●合わせたい食べ物④:味が濃いめの甲殻類(例:エビ、ホタテ、ロブスター、ムール貝など)
●合わせたい食べ物⑤:ほっこりとした硬いチーズ(例:チェダー、コンテなどのハード・チーズ)

●ピノ・ノワール(赤)

バルーン状の大きめのグラスで飲むと複雑な香りをより楽しめる

バルーン状の大きめのグラスで飲むと複雑な香りをより楽しめる

 ワインをたしなみ始めた人が、飲みやすい白ワインから「そろそろ赤ワインも」と考えた時、いきなりフル・ボディからだと飲みづらく、最初に飲む赤ワインとしてお薦めなのがピノ・ノワール。
 ピノ・ノワールは、果皮が薄く病気になりやすいなど繊細で、栽培に非常に手間の掛かる品種。そのため、ピノ・ノワールで良い物を飲みたいと思うとどうしても値段が高くなってしまう傾向があり、おいしいピノ・ノワールを飲むために値段は最低25ドルくらいからは出すことがポイントとされている。
 香りは、イチゴやラズベリーなどのベリー系、スミレやラベンダーなどの花、シナモンなどの茶色いスパイスの香りがするのが特徴で、熟成された物であれば紅茶の茶葉やトリュフなどの土っぽさが香りとして出てくる。
 食べ物との合わせ方は、シャルドネが鶏肉と豚肉に合うのと同じく、ピノ・ノワールもそれらと相性が良い。ただ、ピノ・ノワールの場合は、リッチなソースのかかった物、焼き鳥だと塩よりもタレの物と良い相性を持つ。土っぽい香りを持つ物は、野性味のある食べ物、例えば鴨肉やレバーなど少し癖や臭みのある肉などともよく合う。また、赤ワインではあるが、サーモンやマグロといった脂のある赤身の魚と味わいが比較的軽めのピノ・ノワールは相性が良いと言われている。一方で、辛い料理に赤ワインを合わせると、辛さにアルコールの強さが相まって、口の中が麻痺してしまうため、辛い料理だと口の中をクール・ダウンさせてくれる白ワインの方がお薦め。

◆ピノ・ノワールのおいしい飲み方
●適温は13〜15度くらい(室温よりやや低め)。
●バルーン状の大きめのグラスでその複雑な香りを楽しむ。
●合わせたい食べ物①:軽めの肉料理(例:タレ味の焼き鳥、鶏肉の赤ワイン煮込みなど)、脂の乗った赤身の魚(例:サーモン、マグロなど)
●合わせたい食べ物②:野性味のある物(例:鴨肉、ハツ、レバーなど)
●合わせたい食べ物③:とろっとしたチーズ(例:カマンベール、ブリ―など)
●辛過ぎる料理とのマッチングはNG。

●シラーズ(赤)

濃い色味が特徴のシラーズ(左)と鮮やかな赤色のピノ・ノワール(左)

濃い色味が特徴のシラーズ(左)と鮮やかな赤色のピノ・ノワール(左)

 オーストラリアを代表する品種で、最も多く栽培され、オーストラリア・ワインの最高峰「ペンフォールズ・グランジ」もシラーズから作られている。シラーズは単体でワインが作られることも多い品種だが、ピノ・ノワールやシャルドネと異なり、カベルネ・ソービニョンやグルナッシュなどの品種とブレンドされることもある。また、シラーズは、スパークリング・ワインや酒精強化ワイン(醸造過程でアルコール「酒精」を添加するアルコール度数の高いワイン)の原料にもなっている。
 シラーズは、皮革のような動物っぽい香りを持つことが特徴で、オーストラリアのシラーズにはユーカリの香りがする物もある。フルーツであれば、カシスやブラック・ベリーのような香り、スパイスだとブラック・ペッパーと、ワインの色と同様で香りにも「濃い物」が挙げられる。
 味の特徴は何と言ってもフル・ボディであること。飲む時は、室温よりも少し低めの温度にしておくと、おいしく頂くことができる。シラーズはフル・ボディで味にもボリュームを感じるので、合わせる料理もボリュームがある物がお薦め。ステーキ、ラム・シャンク、ロースト・ビーフ、ビーフ・シチューといった料理とのマッチングが良く、野性味のある香りがするため、ラム肉ともおいしく合う。

◆シラーズのおいしい飲み方
●適温は、室温よりやや低め13〜16度。
●大きめのグラスで飲むのがお薦め。
●合わせたい食べ物①:ボリュームのある肉料理(例:ステーキ、ラム・シャンク、ロスート・ビーフなど)
●合わせたい食べ物②:濃いめのソース系の料理(例:ビーフ・シチューなど)
●合わせたい食べ物③:味の濃いチーズ
●辛過ぎる料理とのマッチングはNG。