シドニー新生活<歴史・文化>

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 先進国の中では、アメリカなどと並び比較的歴史の新しい国。だが、建国以来、急速な政治的・経済的発展を遂げ、同時に多様な国籍の人びとを受け入れるマルチカルチュラルな国家の代表となった。

オーストラリアの歴史

 17世紀初頭、最初にオーストラリア大陸を発見したのはオランダ人探検家であったが、赤道付近に上陸したため植民地には不適と判断したとされている。しかし1770年、イギリス人探検家ジェームズ・クックが温暖なボタニー湾に上陸。1788年には、イギリスはオーストラリアを植民地として領有することを公式に宣言し、政府を樹立した。イギリスは当初アメリカを流罪植民地にしていたが、アメリカが独立したため、オーストラリアがそれに替わる位置付けとなった。1828年にはオーストラリア全土がイギリスの植民地となったが、開拓の過程で先住民への迫害も多く行われた。1901年にシドニーでオーストラリア連邦制が宣言され、これが事実上の、イギリスからの独立となる。ただしその後も、今日までイギリス連邦に所属し、イギリス国王・女王への忠誠を守り続けている。
 第1次世界大戦ではニュージーランドと共にオーストラリア・ニュージーランド軍団(ANZAC)を結成し、イギリスやフランスに味方する形で、オスマントルコ帝国との戦いに参加した。戦地上陸の日は、アンザック・デーとして国民の祝日になっている。
 ゴールド・ラッシュなどにより移民が急激に増加したことを背景に、20世紀前半には白豪主義と呼ばれる白人再優先の人種差別政策が取られたこともあったが、後半には完全撤廃された。現在ではさまざまな国籍の移民が混在して生活する、世界でも有数の多国籍・多文化国家が形成されている。

国旗について

 オーストラリアの国旗は右の5つの星で南十字星を、左の大きな七稜星でオーストラリアの6つの州と特別地域を表している。
 1903年2月に誕生した国旗だが、長い間オーストラリア国旗と認める法律がなかった。正式に承認されたのは「The Flags Act 1953(国旗法)」が53年11月に国会で可決され、”Australian National Flag”と正式に呼ばれるようになってからである。
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現金、チップ、消費税

 オーストラリアの紙幣は全て、レーザーグラム入りビニール・ポリマー幣で、簡単に手で破ることはできない。透かしに相当する部分には透明のビニールが使用されており、5、10、20、50、100ドルの5種類から成る。
 硬貨は、銀色の5、10、20、50セント、金色の1、2ドルの6種類。ユニークなのは、2ドルより1ドル硬貨の方が大きく、50セントの硬貨が一番大きい。
 以前は1、2セント硬貨もあったが、1992年に廃止。しかし、いまだにスーパーマーケットなどでは、1セント単位の表示がされる。このような場合には、5セント単位で端数を切り上げ、切り捨て、四捨五入などで計算される。
 チップを渡す習慣は、全ての場所で浸透しているわけではないものの、都市部の高給ホテルやレストランでは、一定量を支払うのが一般的とされる。目安としては、高給レストランで、サービス料が可算されない時に10〜15パーセント程度を追加して支払う。オーストラリアではほとんどの商品やサービスに、GSTと呼ばれる10パーセントの消費税が掛かる。

Column ボランティアが生きがい?
 ボランティア活動が盛んなことも、オーストラリアの特徴の1つと言われる。2015年に発表された政府の統計によると、10年時点で、18歳以上のオーストラリア人で公式なボランティア活動に参加している人は36.2パーセント、実数にして610万人にも上っている。1995年の320万人から大きな増加だ。非公式な個人的なボランティアを含めると、統計はないが、膨大な数になるだろう。公式ボランティアの場合、管轄する組織に申し込んでボランティアを行うことになるが、現在最も多いのはスポーツ・レクリエーション関係で37パーセント、次いで福祉・コミュニティー関係22パーセント、同じく宗教関係22パーセントとなっている。もっとも、ボランティアに対する意気込みは「仕事はそこそこに、ボランティアが生きがい」という熱血派の人から、「ボランティアは社交の場」というエンターテインメント派まで、考え方・関わり方は人それぞれだ。

オーストラリアの祝祭日

 オーストラリアの祝祭日は、元日、オーストラリア・デー、グッド・フライデー、イースター・マンデー、アンザック・デー、クリスマス、ボクシング・デー、クイーンズ・バースデーやレイバー・デーだ。
 クイーンズ・バースデーやレイバー・デーなどのその他全ての祝祭日は、州と準州の政府によって異なる。またクリスマスや元日が土曜日または日曜日の場合は、次の月曜日が振替休日となる。
 NSW州の祝祭日は、州のウェブサイト(Web: www.nsw.gov.au)で調べることができる。

オーストラリアのメディア

■新聞
 新聞の発行は原則的に1日に1回。朝刊、夕刊というシステムはない。全国紙は一般紙「The Australian」と、経済専門紙「Financial Review」である。「The Australian」は、土日合併の週末版には「The Weekend Australian」となる。
 シドニーで発行されている新聞は「The Sydney Morning Herald」や「The Daily Telegraph」などがある。
■雑誌
 イギリスやアメリカなどから人気雑誌が数多く輸入されている。しかし、自国で発行している雑誌の量も多く質も高い。またゴシップ誌も豊富。
■テレビ
 オーストラリアの放送局は国営1局(ABC)と民放4局(SBS、Channel 7、Channel 9、Channel 10)の5局である。ABCは、日本で言うならNHK総合のようなイメージ。ニュースや時事番組、国会中継、教育番組などが中心だが、ドキュメンタリーやスポーツ番組、ドラマなどもあり幅広い構成である。SBSは、多言語のニュースや番組を多く放送。NHKの全国ニュースも放映している。

言葉とあいさつ

 オーストラリアの英語は「オージー・イングリッシュ」と呼ばれ、独特の発音や言い回しがある。代表的なものにAをアイと発音することが挙げられる。例えば、Mondayがマンダイ、Ladyがライディなどだ。
 また、よく聞くオージー・イングリッシュに「G’day, mate!(グダイ、マイト)」がある。「Good day, mate!」が短縮されたものだが、くだけたあいさつの一種だ。
 他にも人混みでぶつかったりした時に謝ると「No worries」という言い方で返されるのもよく聞く。「Australian Slang」(Web: www.koalanet.com.au/australian-slang.html)というウェブサイトには、このようなオージー・イングリッシュが紹介されているので、参考にしてみよう。

Column 日本と違うバレンタイ・デー
 オーストラリアのバレンタイン・デーは、日本のように女性から男性にチョコレートを贈るのではなく、男性から女性に赤いバラの花やギフトを贈ったり、食事に出かけたりするのが一般的。最近では恋人同士や夫婦などで、互いにギフトを贈り合うこともあるそう。
 2月になると、デパートやスーパーマーケットなどのお店は、バレンタイン用の装飾が施され、バレンタイン当日は、街中で手にバラの花を持った男性を見掛ける。このため、オーストラリア最大の花市場として知られる「Sydney Flower Market」(Web: www.sydneymarkets.com.au)は、バレンタイン・デーの日は1年で最も忙しく、大変なにぎわいとか。この花市場、日曜日を除く朝5時から11時までオープンしている。シドニー周辺の多くのフローリストらがここで花や資材を購入するが、一般の人にも開放されているので、市場内の花を購入することができる。
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作者プロフィル@かめいゆみ。2013年10月来豪。30代の元デザイナー。